Sunday, December 8, 2013

おらぁの畑に入っちゃ〜だめぇ〜!!

家から見える、川沿いの畑の90過ぎのおばぁが怒ってる。

何事だぁ??

と思って見てみると、草ばかり集めて一日中歩いているくさじぃが、おばぁの畑を突っ切って、土手の草をめがけて歩いている。
くさじぃは毎日草を集めて、うさぎとかめなら、かめの速度で、えっちらおっちら歩いていて、ごみは落とすし、手癖が悪いでみんなから煙たがられている。

「人の畑に入っちゃだめ!!」

と、おばぁは棒を杖代わりに、くさじぃに近づいていく。
くさじぃもくさじぃで「そこの草が欲しいだ。」と訴えるが、おばぁは納得してくれないから、おばぁに近づいていく。
見ていた私は、2人の接近戦にどきどきしっぱなし。



近づいて、怒って、おばぁはどこかへ消えた。

ありゃ?!

くさじぃは、ちらちら気にしながら、草をとる。
思わず、とるんかぃ!!って突っ込みを入れて、ずっこけてしまった。


しばらくしておばぁは戻って来て、くさじぃに背を向けてねぎの収穫を始めた。くさじぃは気が済んだのか、畑を戻り始めた。
すれ違う時・・・おばぁはもう一度、

「人が一生懸命耕してる畑に、入ってきちゃ〜だめだよ〜!!」と。

確かに。くさじぃは、ほうれん草を踏んだ。そして、耕してある土をがつがつ踏んだ。

そしておばぁは、

「ねぎ食うかぃ?」

と、くさじぃの台車に、採ったねぎを4〜5本ぽんと乗っけてあげて、また、ねぎを採り始めた。そしてくさじぃは、何事もなかったかのように、再び歩き出す。



昔、小学校の先生だったというおばぁ。
私が越してきた時に、「大将にいい人が来てくれたなぁ〜」と、道ばたで万歳してくれたおばぁ。
否定はしない。いつもにこにこで、肯定的なおばぁ。
畑に遊びに来てるだ、とおばぁ。

どんな人でも、拒むのではなく、受け入れる。でも、だめなものはだめ。きちんと伝えて、引きずらない。
教育とはまさにこれだ・・・と、胸が締め付けられるような出来事で、世の中の争っている人たちや、政治界が、こんな風に、ねぎをあげるみたいな感じでいられたらいいのになぁと。

ズッキーニの花    photo by 健之助.

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